JR初島駅開業に向けた3Dプリンター駅舎の全貌
和歌山県有田市、JR紀勢本線の「初島駅」にて、世界初の3Dプリンター技術を用いた駅舎の建設が完了しました。これは、セレンディクス株式会社がJR西日本グループとの提携により実現したもので、2025年7月の供用開始が予定されています。このプロジェクトは、未来的な建設技術の象徴であり、従来の工事方法では不可能だった短工期での施工を可能にしました。
3Dプリンター駅舎建設の背景
まず、初島駅は1948年に建設された木造駅舎で、老朽化が進んでいました。無人駅として運営されているため、維持管理にかかるコストの増加が課題でした。このため、セレンディクスは、現存の駅舎を取り換える形で、新しい駅舎の建設を計画しました。
建設は、最終列車の出発から始発までの間に行われ、「6時間での完成」を目指しました。これは、3Dプリンターによる建設技術の進化を示すもので、特に短時間での施工が強調されています。これまでの常識を覆す挑戦でした。
施工の技術と過程
3Dプリンターによる施工では、熊本県水俣市にある協力工場で作成された部材を使用しました。この工場では、専用の特殊モルタルをロボットアームから吐出し、駅舎のパーツを作成します。7日間で4つのパーツが完成した後、それらはトラックで建設現場に運ばれました。
施工当日は、午後11時57分の最終列車が出発した後に作業が開始。4台のトラックが順次建設現場に進入し、クレーンを用いてパーツを設置しました。2時間という限られた時間の中で、組立作業が行われ、なんと正味1時間15分でパーツの設置が完了しました。その後も必要な補修作業が行われ、全ての工程を予定通りに終了しました。
未来への期待
新しい駅舎が完成したことにより、JR西日本は外構や内装、改札機の設置を進める予定で、2025年7月には公式に供用開始となります。今回のプロジェクトによる技術革新は、駅舎建設だけでなく、他の鉄道施設への応用も視野に入れています。セレンディクスでは、工期短縮やコスト削減の効果を検証し、今後の展開を検討していく考えです。
まとめ
セレンディクスの共同創業者である飯田國大氏は、挑戦を通じて「世界初の3Dプリンター駅舎」が観光地としての価値を持つことを期待しており、建設業界における労働力不足を解消するための重要性を訴えています。これからも3Dプリンターによる建設技術は、短工期、低コスト、高品質なソリューションを提供し続けることでしょう。初島駅がその象徴となることを期待しています。