熊本の竹箸メーカー・ヤマチクが栄誉を受賞
熊本県南関町に本社を構える株式会社ヤマチクが、株式会社日経BPが主催する「マーケター・オブ・ザ・イヤー2025」で優秀賞(地方編)を受賞しました。この受賞は、地方企業としての新たなビジネスモデルの確立が評価された結果です。
ヤマチクの歩み
ヤマチクは創業から60年以上、竹のお箸を専門に製造してきました。材料の竹は、地元の山々から一本ずつ切り出し、日本で唯一の純国産の竹箸を提供しています。竹は環境に優しく、持続可能な素材としても注目されています。
脱OEMの決意
これまでOEM(相手先ブランドからの委託生産)としてのビジネスに依存していたヤマチクは、経営上の課題から脱却するため、自社ブランド「okaeri」を2019年に立ち上げました。しかし、新興ブランドとして販路を確立するのは容易ではありませんでした。地元の雑貨店や展示会に自ら足を運び、泥臭い営業を続けた結果、地道に信頼を築いてきました。実店舗のオープンや短編映画「いただきます」の制作も、その取り組みの一環です。
売上の成長
近年、ヤマチクの売上は順調に伸びています。2024年7月から2025年6月までの売り上げは、前年同期比で約30%増加するという成果を収めています。これは、地道な努力と創造的なマーケティング施策が実を結んだ結果であると言えるでしょう。
短編映画『いただきます』
2025年8月に公開された短編映画『いただきます』は、ヤマチクのブランドイメージをさらに高める内容となっています。公開から2ヶ月で8万回以上の再生回数を記録し、多くの共感を呼びました。この活動によって、ヤマチクは「箸といえばヤマチク」と思い出してもらえるようなイメージを確立してきました。
海外の評価
初の自社ブランド「okaeri」は、PentawardsやニューヨークADCなど、海外の権威ある賞を次々と受賞し、その品質の高さが評価されています。国内でも、その豪華さと洗練されたデザインが話題を呼び、多くの顧客に支持されています。
直営ファクトリーショップ「拝啓」オープン
2023年11月には、工場敷地内に直営のファクトリーショップ「拝啓」をオープンしました。このショップでは、ヤマチクの製品を直接手に取って体験できるだけでなく、竹に関する知識や文化を紹介しています。
まとめ
ヤマチクの「マーケター・オブ・ザ・イヤー2025」優秀賞受賞は、地方のメーカーが創意工夫を凝らし、顧客のニーズに応えて進化を遂げる姿を見せています。自社ブランドの確立を通じて、市場での競争力を高め続けるヤマチクは、今後もさらなる成長が期待されます。キラリと光る熊本の竹の箸は、これから多くの場面で私たちの食卓を彩ることでしょう。