熊本地震から1カ月、NPOが支える「ラストワンマイル」支援の現場
2026年7月28日に発生した「令和8年熊本地震」。その被災地である熊本県八代郡に、認定NPO法人テラ・ルネッサンスが緊急支援活動を開始しています。事務局長の佐々木純徹(ささき じゅんてつ)氏は、10年前の熊本地震の時は自衛隊の中隊長として支援を行い、今回はNPOの職員として再び現地に立っています。その彼の経験と知見が、現在の支援活動にどのように活かされているのでしょうか。
10年前の経験、今回は個人として現地へ
当時、自衛隊で中隊長を務めていた佐々木氏は、発災直後に緊急招集され、すぐに50人以上の部隊を率いて熊本に入りました。彼が行ったのは、給水や炊き出し、支援物資を各避難所へ運ぶ作業。他方、今回は一人での現地調査から始めています。「量の面では当時の方が圧倒的に多く支援ができましたが、今回は自分たちで考えて柔軟に動くことが大切だと感じています」と佐々木氏は振り返ります。
本当に求められる情報を探る
佐々木氏が2016年熊本地震で学んだのは、全ての情報が表に出ているわけではないということです。「障害を持つ高齢者や外出が難しい方々は、自ら助けを求めることが困難です。そういった『見えにくい』ニーズに対して、こちらから情報を探しに行くことが重要だと感じました」と語ります。これがNPO法人に入職後のウクライナでの支援活動にもつながっていきます。
ウクライナの経験が現在に活かされる
2022年のウクライナ侵攻を受け、NPOはハンガリーへ避難民支援に向かいました。多くの避難民が集まるブダペストでの支援も重要でしたが、佐々木氏は「本当に支援が必要なところはどこか」を常に考えて行動しました。その結果、支援が届きにくい地域に焦点を当てるなど、10年前の熊本地震で学んだことが彼の支援スタイルの核となっていたのです。
熊本での「ラストワンマイル」の支援へ
令和8年、改めて熊本の地震に対する支援活動が始まりました。八代郡の氷川町において、すでに公的支援が動き出している中、テラ・ルネッサンスはさらに支援が届かない地点へと注力をすることを決定しました。「公的な支援がすでに始まっているので、私たちはその仕組みだけでは支援が届きにくいところへ向かう必要があると考えました」と佐々木氏は語ります。
現地ニーズに基づく支援物資
支援物資の選定は、地元の住民や福祉関係者からヒアリングを重ねる中で、必要とされるものをピックアップして調達します。特に元ICU看護師のスタッフの知見を活かし、乳幼児に必要な経口補水液や生活必需品を選んで届けることが重要視されています。
今後の支援計画と地域貢献
テラ・ルネッサンスは、8月15日をもって初動支援を一区切りとし、以降は被災者の生活再建支援に移行します。地域の企業や団体と連携し、炊き出しや子どもたちの安心して過ごせる場づくりに取り組んでいきます。佐々木氏は「災害が発生した後は、必要な支援が変化する。その声をしっかり聞くことが大事です」と話します。
今後も地域とともに
一連の支援活動を通じて、佐々木氏とテラ・ルネッサンスは、地域住民や団体、企業とつながり、必要な役割を担っていくことを目指しています。人々の生活が少しずつ正常に戻るその過程に寄り添うことで、地域への貢献ができると信じています。
支援が届けられる場所には、一人一人のストーリーがあり、その一つひとつに真摯に向き合うことが、これから求められる姿勢といえるでしょう。