超音波モータの未来を語る『次世代モーターアイデアソン2025』開催報告
超音波モータの開発を行う株式会社Piezo Sonicは、2025年8月30日に初の『次世代モーターアイデアソン2025』を八代市で開催しました。当イベントは、同社が開発したピエゾソニックモータの認知拡大と新しい活用アイデアを創出することを目的としたワークショップです。
約30名のエンジニアやデジタルクリエイター、学生などが参加し、熱気あふれる議論が繰り広げられました。審査員には、同社の代表である多田興平氏をはじめ、他の企業の代表者が携わり、アイデアの審査を行いました。今回はイベントの詳細とその成果を報告します。
会場と超音波モータの特徴
イベントは羽田空港から一駅の地点にある「PiO PARK」にて開催され、モータの革新に向けた多様なアイデアが生み出されました。多田氏の解説によると、ピエゾソニックモータは以下の3つの特徴を持っています。
1.
電力無しに姿勢を保持
超音波モータは、電源がオフの状態でも軸をロックし、姿勢を維持することができるため、ロボットや機器が電源を失っても倒れる心配がありません。
2.
静音性と力強さ
ギアを用いずに大きな力を生み出せるため、静音で滑らかな動作が可能です。
3.
強磁場環境でも安定駆動
磁石やコイルを使わないため、MRI室などの強い磁場でも安定して動作します。
これらの特性から、超音波モータは監視カメラや医療機器などに活用されています。しかし、高速回転や長時間の駆動には向かない一面もあります。
アイデア創出の過程
参加者は5つのグループに分かれ、個々にアイデアを創出しました。自然現象や日常生活、医療、災害、産業、交通、宇宙といったテーマから課題を見つけ出し、超音波モータがどのように役立てるかを考えます。生成AIの利用も認められ、柔軟な発想が求められました。
参加者からは、トレーニング補助具や家庭菜園用の自動水やりシステムなど、多彩な提案が寄せられました。
グループ代表アイデアの発表
各グループは、独創性や新規性、実現可能性、ワクワク度の評価軸でアイデアを絞り込み、代表案をプレゼンテーションしました。内容は以下の通りです。
音が気になる既存のゆりかごへの代替案として、静音の超音波モータを用いた入眠すると自動で止まる仕組みを提案。
起床が苦手な人向けに、布団を自動で絡め取って起き上がらせる機能のある寝具。
熊の出没に対応する高性能照準器のアイデア。超音波モータを用いて静かに照準を合わせる。
収納の不便さを解消する、新たな設計のさすまた。
焼きムラを防ぐためにトレーを立体的に動かす電子レンジの提案。
優勝アイデアと今後の展望
厳しい審査の結果、優勝したのは「静音ゆりかご」。審査員はその実用性と市場のニーズに応えるポテンシャルを高く評価しました。参加者は多くの学びを得るとともに、次回へ向けた意欲を見せ、さらなる発展を期待しています。
次回のアイデアソンは12月6日に東京で開催予定です。詳細は公式SNSで発表される予定なので、ぜひフォローしてください。今後も超音波モータの可能性を広げるための取り組みを続けていきます。