地域の交通課題を解決するチャリチャリの新しい金融プロジェクト
近年、都市部でも地方でも公共交通機関の維持が難しくなっている現状があります。少子高齢化や人口減少が進む中で、地域の移動手段の確保は急務です。こうした背景から、チャリチャリ株式会社と三菱UFJ信託銀行が共同で新たな取り組みを発表しました。それは、国内で初となる動産信託を基にした個人向け投資ファンド「チャリチャリ地域インフラ投資ファンド」です。
共感投資型ファンドの誕生
このファンドは、チャリチャリが福岡エリアで導入予定の1,100台の電動アシスト自転車を担保としています。これにより、地域の交通課題を地域資本で解決する「金融の地産地消」を実現します。チャリチャリの使命は「まちの移動の、次の習慣をつくる」としており、その理念に基づいて地域社会のインフラ投資を促進していきます。
2025年7月からこのファンドは販売を開始する予定で、特にインパクト投資ニーズの高まりに対応する形です。投資家には「セキュリテ」という共感投資型クラウドファンディングプラットフォームを通じて参加する機会が提供されます。また、インパクトサークルと連携し、地域社会への影響を数値化したレポートも発行する予定です。
地域の交通課題とその解決への取り組み
公共交通機関の持続可能性が危ぶまれる中、地域における移動手段の多様化と利便性の向上は急がれる課題です。チャリチャリは2018年2月に福岡市でサービスを開始し、これまでに3,500万回以上利用されています。この成功を基に、2025年6月までに福岡県内の複数の都市でサービスエリアを拡大する計画です。
このように幅広いエリアをカバーすることにより、公共交通機関との接続を高め、地域経済の活性化にも寄与したいと考えています。地域の人々が日常的に利用しやすい「次の移動手段」を提供することが、チャリチャリの強みです。
金融モデルの革新
通常、地域の公共交通サービス提供者は資金調達の道筋が限られており、個人投資家も地域課題改善に対する投資へのアクセスが乏しい状況です。このファンドを通じて、信託機能やクラウドファンディングといった金融手法を組み合わせ、よりオープンで参加しやすい投資の形を提示します。
このファンドは、自転車を「動く資産」として信託化しており、特に地域の交通事情改善に寄与する新たな仕組みです。チャリチャリが生み出す利益を地域の投資家に還元し、その分配を通じて地域に還元する「金融の地産地消」という概念の下で、地域の持続可能な発展に寄与していきます。
各企業の役割
この取り組みには4社が関与しています。チャリチャリはシェアサイクルサービス提供と自転車の管理を担当し、三菱UFJ信託銀行はファンドの信託スキーム設計を行います。ミュージックセキュリティーズはクラウドファンディングプラットフォームを通じて投資家へのアプローチを行い、インパクトサークルは地域への影響を可視化する役割を担います。
投資家への特典と参加方法
ファンドへの投資を通じて、個人投資家には「チャリチャリのライドチケット」という特典も用意されています。このチケットを通じて、地域の移動手段を実際に体験しながら、投資による社会貢献を実感できる機会を提供します。具体的には、1口の投資ごとに年5,400円分のライドチケットが配布され、月ごとに90円分のチケットが12ヶ月間配布される形になります。
こうした新しい金融モデルは、地域の交通課題解決に向けた一助となることが期待されており、地域住民との協働にも力を入れて進められていく予定です。チャンスを逃さず、ぜひこの新たな投資形態に参加してみてはいかがでしょうか。